書籍レビュー:毎日読みたい365日の広告コピー
真夜中に大雨の音
まだ起きていたので、明かりのついた部屋のカーテンの隙間から外を覗き
街路灯に映る大雨に驚き、しかめっ面をしてしまう
もし近所の人が起きていて、同じように外を見ていて
たまたまそんな私を見たとしたら
映画『シャイニング』
みたいなことになっていないか不安になりました
ショッピングモールにて
欲しいものが何か見つかるかもしれない
という理由で普段は立ち寄らない場所に立ち寄ってみたました
ショッピングモール
欲しいものは確かにあるので、それを探すために時間を使おうと思っていたし、さらには購入するかどうかの迷うための時間まで用意しました
だがしかし!
何もうまく見つからずに、飽きてしまう
ショッピングモールが少々苦手
なんででしょう
その後に予定もあったので、帰ってしまうわけにもいかず、余ってしまった貴重な時間をできる限り有効なものにしようと書店に立ち寄り見つけた本がこちら
「毎日読みたい365日の広告コピー」(株式会社ライツ社、2017初版)
タイトルからして面白そう
一度手に取り内容を軽く確認し棚に戻す
そうしてから、その場を離れふらふらと歩く
その後、
『確かに気になって続きが読みたい』ことを確認し、購入
自分の行動を文章にしてみると、いかに面倒な人間か分かるなこれ
内容は、
さまざまな企業がこれまでに作成したキャッチコピーを、季節や日付に関連付けて365日分に並べたもの
製作年やコピーライターの名前を紹介すると同時に、そのキャッチコピーへの言葉添えもあり読んでいて感銘を受けることが多いですね
1ページ目は
『365日、その日その季節にぴったりの「広告コピー」を並べてみたら、大切なことを思い出せる素敵な名言集ができました。』
という言葉からはじまります
言葉を生かす
以前テレビ番組で
電車の中吊り広告を作る仕事をしている会社員が、上司の笑い話をしていました
「うちの上司は、『四角形の中で生きるためには何が必要だと思う?』なんておかしなことを言う変人だ」
というような内容
この言葉そんなにおかしいかなと思った私もきっと変人なんでしょう
人が生きるためには例えば、衣食住が揃っている、仕事がある、人との繋がりがある、など必要なものは多々ある
言葉も同じ
言葉を生かすためには、必ず必要なものがある
それは主語や述語などの文章を構成するためのもの、という単純なものだけではないでしょう
言葉を武器にする人は、それぞれが自分なりの方法で言葉を生かし、生きた言葉は字面以上に今を持つ
例えば、俳句もそう
俳句は世界で一番短い詩
と言われています
短い文章の中に
どれだけの背景や感情を表現できるか
どれだけの共感を集められるか
生かされた言葉が、それを聞いた人の感情を揺さぶる
そして、それはキャッチコピーも同じ
キャッチコピーという短い文章は、それを制作したライターに生かされた言葉
それを見る人、聞く人の感情を揺さぶることができる
この本には、
今から15年以上前からのさまざまな企業が制作したキャッチコピーが収録されている
必ず共感できるものがあるといっても言い過ぎではないほど「生きている言葉」が並んでいる
共感できるものがありました
学術上、クマンバチは飛べない。
それを知らないから飛べるんだって。
【23区/オンワード】 ポスター 2008年
私にも強く共感できるキャッチコピーがありました
このキャッチコピーに直感的に惹かれたし
「何も知らないことが大きな武器になることがあります。」
と言う解説も、心に響いた
学生時代、所属していた研究室の先輩から
「優れた論文を書くためにはとにかく論文を読みあされ、
そしてその後、長い期間いっさい他人の書いた論文を読むな」
と言われたことがあります
論文を知ること、そして論文を知らないことが大きな結果を生むために必要だ
ということなんでしょうね、
まぁ、大きな結果なんて生めませんでしたけどね
実際のところ、社会人として生活してみると
知らないことは強いのだと感じることは少なくないです
何も知らないからこそ全く新しい視点で意見をする人に
度肝を抜かれたこともあります
知らないからこそ、恐怖もないし
知らないからこそ、しがらみがない
知らないことは大きな武器になる
などということを、短い文章から感じ
深い共感を覚えた
きっと誰でもこんなふうに共感できる言葉があるんだろうと思いますよ
感想
あっと言う間に読み終わってしまった
読み終えてから、
1日1ページ、1年かけて読んでも良い本かな
とも思えました
1日ひとつのキャッチコピーを読み、1日かけて生きた言葉を自分なりに噛み砕いていくのもなかなか面白い読み方なのかもしれない
とにかく、
しばらくは手元に置いて気分のままに適当なページを開いて、生きた言葉を楽しむことになりそうです